【腎結石】/【尿管結石】猫の闘病体験記【手術で回復傾向】

私は猫を2匹飼っておりますが、今回の記事ではタイトルにもあります、

猫に多く見られる【腎結石】【尿管結石】という病気について

体験記を共有します。
筆者はベンガル猫を2頭室内飼いしておりますが、1匹がこちらの病気に罹患しました。(2021年11月)

幸いなことに、手術を実施することで、腎臓、尿管の結石を取り除き、経過観察を丁寧に行い、アフターケア(手術して、はい終わり、というわけではありませんでした。)をすることで、現在は回復傾向になっております。
※うちで飼っている猫2匹の基本情報はこちら。今回病気に罹患したのはニーナちゃん6歳(当時)です。

症例をネットなどで見てみると「高齢猫ちゃんがなる病気」というイメージをもってしまいそうですが、うちの猫に限って言えば6歳というまだ高齢ではない段階で罹患しています。

原因は様々ですが、必ずしも高齢猫ちゃんだけがなるわけではないこの【腎結石】【尿管結石】
今回は、これらの病気の発覚経緯、及び、どのような治療をしていったか?を体験談をもとにお話しさせていただきます。

このページを訪れた方は、もしかしたら当時の私のようなお気持ちでご覧になっているかもしれない。
少しでも、皆様のお役に立てるよう、情報提供させていただきます。

※免責・注意事項!!
当ブログの記事はあくまで筆者の体験記であり、この体験記を元に必ずしも、完治/克服できるものではございません。また、獣医師免許なども持っておりません故、医学的根拠のある記事ではありません。
ご参照、ご参考いただければ幸いですが、より詳細を聞きたい、等のご意見があれば、下記よりお問い合わせをお願いします。

腎結石/尿管結石とは?

猫ちゃんの腎臓や腎臓と膀胱をつなぐ「尿管」の中に結石ができてつまってしまい、尿が適切に排出されなかったり、腎臓の機能が落ちてしまう症状が出てしまう病気です。

この状態が続くと、「水腎症」という病気を併発してしまう可能性もあり、排出されない尿が腎臓を圧迫し、腎臓が肥大してしまうこともあります。

こちらの右京動物病院本院医療センター様のブログ記事が大変参考になるため、ご紹介させていただきます。(一部、手術画像があるため、閲覧にはご注意ください。)

【筆者の体験記】当時の症状

別記事でご紹介しておりますが、2020年7月ごろから、うちの猫ちゃんのニーナちゃんが【特発性多発神経根障害】にかかっていており、そのアフターケアを実施するため、定期的に通院してました。
(※特発性多発神経根障害の記事はこちら。)

その通院の際、血液検査をするのですが、腎臓の状態を見る際に特に注目する項目に

・BUN(尿素窒素)

・クレアチニン

という項目があります。

BUN(尿素窒素)は本来であれば腎臓の機能にて体外に排出される毒素の量を指していると簡易的に考えていただければよく、当然この数値が高い場合は腎機能が低下している恐れがあります。

また、クレアチニンも似ており、高い場合は体内に老廃物が残っている可能性があり、腎機能を示す一つのデータとなっています。また、脱水症状なども疑われる数値となります。

約1.5年間に渡って記録したニーナちゃんのBUNとクレアチニンのグラフです。

2020年11月から20228月までのBUN値の経過。オレンジ帯が正常値と言われる範囲。赤線は手術日。
2020年11月から20228月までのクレアチニン値の経過。オレンジ帯が正常値と言われる範囲。赤線は手術日。

分かりやすく、いずれも正常値を大きく外れております。
お医者様には、BUNが高いのはご飯後など高くなる可能性もある、と言われておりましたが、クレアチニンが高く、かつ、脱水症状の所見があったため、腎臓のエコーなどを毎回実施し、状態を確認していただいておりました。

【筆者の体験記】当時のお医者様の所見

2021年6月に転機が訪れます。

ニーナちゃんがだんだんと

・元気がなくなり、走ったりして遊ばなくなる
・食欲もなくなってくる
・ずっとスフィンクス座りをして、動くことが少なくなる

のような症状が現れ始めました。お医者様の所見はこちら。
※2022年に別の病院へ転院するため(こちらの病気ではなく、他の病気の治療のため)の引き継ぎ資料として、当病気の経過を通っていた先生に文章に起こしてもらいました。そこから抜粋した文章です。

2021年6月、走らなくなってきた。腎数値上昇。皮下補液再開。ラプロス1TBID、ウロアクト1TBIDで開始。その後状態良好。8月から自宅での皮下補液開始。(週1回)体重2.6kgで維持。

この時期は、腎数値は上がったものの、脱水状態を乗り切るための皮下補液の対応がメインでした。

ラプロスとウロアクトを投薬しておりましたが、感覚的にニーナちゃんは皮下補液をすると元気を取り戻す感じがしました。(自宅での皮下補液の方法についても、おって記事にいたします。)
ちなみに、ラプロスは血管保護、拡張、炎症抑制などに効果ありの薬剤、ウロアクトは結石予防のサプリメントとなります。

しかし、また転機が2021年10月に訪れます。お医者様の所見。

右腎盂に拡張が認められるため、高度医療センターに紹介。
高度医療センターにて
左腎臓:尿管結石があるが、うっ滞所見なし。
右腎臓:近位尿管に結石を認め、腎盂拡張(8mm)あり。

との所見をいただきました。

この、腎盂拡張は結果的に「水腎症」からくるものでした。
腎臓や尿管にある結石が尿の排泄を邪魔し、腎臓が尿で大きくなってしまっている、とのことでした。

また、腎数値などから慢性腎臓病のステージ2から3であることは間違いなく、適切な処置をして、腎臓が悪くなるスピードを遅くする(腎機能が劇的に改善することは望めません、腎臓病の進行を抑えることを先決する。)ことが重要であり、現時点で腎結石、尿管結石が悪さをしていることは確かであるため、手術が最善策、との所見をいただきました。

【筆者の体験記】手術方式

そして、2021年11月に手術を実施しました。当時の先生の所見はこちら

11/5手術
右腎臓内結石摘出。(尿管切開部から細径内視鏡を使用)、右尿管結石摘出
尿管膀胱新吻合(尿管切開部と膀胱を吻合;膀胱外法)、右腎瘻チューブ設置

尿管結石を取り除く術式には大きく分けていくつか種類があるらしく、尿管切開、尿管膀胱新吻合、SUBシステムなど・・・。

今回手術を実施した、高度医療センターでは「尿管膀胱新吻合(にょうかんぼうこうしんふんごう)」という術式を積極的に取り入れており、ニーナちゃんもこの術式で手術を行いました。

簡単に説明すると、腎臓から出ている尿管は膀胱につながっているのですが、膀胱近くの尿管は細くなっており、結石が詰まりやすいです。そのため、膀胱近くの尿管を切除し、尿管が太い箇所と膀胱を繋いでしまおうという術式、と素人の私は理解しております。
こちらの、高度医療センターでの解説のほうが確実ですので、ご覧いただければ幸いです。

メリットとしては、再発率が低いことが挙げられるそうです。
結石ができる猫ちゃんは、手術で結石を取り除いたとしても再度結石ができることが多く、また腎結石や尿路結石を再発してしまう可能性が高いです。
都度手術するのは、当然猫ちゃんの体調面にも配慮が必要なり、またコスト面でも高額なものとなります。そのため、結石はなるべくできにくい体にする、という面でも、この「尿管膀胱新吻合」をお勧めされました。

デメリットといえるのかは分かりませんが、難易度が高い手術とのことで、できる病院が少ないとのことです。また、この高度医療センターも紹介状がないと通院できない病院となります。

結石の種類/ストルバイト と シュウ酸カルシウム

結石にも種類があるらしく、

・ストルバイト
・シュウ酸カルシウム

があります。
今回、なぜ手術で取り除こうとなったのか?というと、腎結石/尿管結石を引き起こす結石の種類が「シュウ酸カルシウム」である可能性が非常に高かったから、となります。

・・・「ごはん療法などで結石を溶かす、ことはできないの?」と思ったのですが、この「シュウ酸カルシウム」は絶対に溶けない結石で、運よくおしっこで排出されない限りは体内に残り続ける、とのことでした。

術後、取り除いたこの結石を調べた結果、98%以上が「シュウ酸カルシウム」でした。それはそれは大きな石でした・・。絶対に尿道を通って出るような大きさではありませんでした。

手術費用について

結論、高度医療センターでは569,140円かかりました。

保険で8割軽減されたため、実質は11万ちょっとで済みましたが、かなり高額なため、検討が必要かと思われます。また、その後の通院でも2~4万円はかかっているため、高額治療となります。

【筆者の体験記】術後経過経過

術後のニーナちゃん

術後の二ーナちゃん。不機嫌です。

1週間後に退院しました。

術後、クレアチニンは術前からだいぶ下がりました。
また、水腎症も解消され、結石もなくなりました。(小さなものは残っており、完全に取り除いたわけではありません。)

ただし、この後の経過としては、慢性腎臓病への対応が必須となり、数値がよくなった、結石がなくなった=完全によい状態か?となると、NOとなります。

アフターケア:皮下補液、飲水、ウェットフード

特に、ニーナちゃんの場合は慢性腎臓病のステージが2~3であり、また、脱水症状も見られたため、在宅での皮下補液を週2回ほど実施しておりました。

皮下補液=慢性腎臓病を治す、では決してありませんが、慢性腎臓病の場合は多尿となりやすく、尿の濃度が薄くなり、水を飲んでいても脱水症状を起こすことが多く、また貧血も起こしやすくなります。

脱水症状や貧血では、当然ニーナちゃんの元気もなくなります。
そのため、

・積極的な皮下補液
・人間の手による飲水
・ドライフードからウェットフードへ

を行っておりました。(いまでも継続しております。2022年8月現在)


特に、当時の体重が2.0kgを割るか割らないか、という超低体重で、そもそも体力がない、とのことで、腎臓ケアを考えるよりもまず、体重を増やすための高カロリーでニーナちゃんの食欲をそそるような食事を心がけ、体調をよくすることに専念しました。

その結果、2022年8月現在は3.0kg近くまで体重が戻ってきております。BUNは以前高いものの、

・よく遊ぶ
・一緒に暮らしている猫のかなでちゃんと遊ぶ
・おなかを見せて寝転ぶ(スフィンクス座りがなくなりました)

等、元気な姿を見せてくれています。

これらのアフターケアについては、別記事にて紹介させていただきます。

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